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あるいは裏切りという名の犬 DTSスペシャル・エディション

あるいは裏切りという名の犬 DTSスペシャル・エディション
ダニエル・オートゥイユ
あるいは裏切りという名の犬 DTSスペシャル・エディション
定価: ¥ 4,935
販売価格: ¥ 3,701
人気ランキング: 95位
おすすめ度:
発売日: 2007-06-08
発売元: 角川エンタテインメント
発送可能時期: 近日発売 予約可

パリ警視庁のふたりの警視、正義感あふれるレオと野心家のドニ。かつてひとりの女性を取り合い、彼女がレオ夫人となったことから、友人だったふたりの間には深い溝ができた。次期長官候補がレオであることがおもしろくないドニ。どうしても出世したいドニは、レオが指揮をとる現金強奪事件の捜査に無理やり入ってくる。そんなとき情報屋に騙され、殺しのアリバイの片棒を担がされたレオ。やがてその一件は、ドニに勘づかれ、彼の人生を左右する事態に発展していく。
ふたりの警官の騙しあいの物語には香港映画『インファナル・アフェア』があるが、もとこういった犯罪ノワールの元祖はフランス。本作はアラン・ドロン、ジャン・ギャバンの一連の出演作を彷彿させるサスペンスだ。ひとつ歯車が狂ったせいで、転落していくレオと、彼を踏み台にすることも厭わない冷酷なドニ。友情なんてどこにもない、にらみあうふたりの男の関係は、たたずまいを見ているだけでスリリングだ。演じるのはフランスの名優ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュー。監督は本作が2作目のオリビエ・マルシャル監督。ひとつの事件がふたりの男とその家族の人生もガラリと変貌させてしまう。その怖さと迷宮のように入り組んだ物語の巧みさに圧倒される傑作だ。(斎藤香)

久々の傑作フィルム・ノワール
日本では無名ですが、実際に警察官だった経歴を持つオリヴィエ・マルシャル監督が、共同脚本として本作に関わった元刑事ドミニク・ロワゾーが経験したエピソードを中心に、実在の事件や人物をヒントに描き出した警察組織内部の闇を巡る、昔日のフランス製フィルム・ノワールを現代に蘇らせるスリリングな仕上がりで、犯罪映画ファンは絶対に見逃せない傑作です。
冒頭、夜の闇に主人公の警視レオ(ダニエル・オートゥイユ)の悲痛な叫び声がこだまする。この叫び声の意味は、映画の終盤に近いところまで分からない。この息の長い構想力と、その間物語を少しもたゆませない演出力!!
続いて、パリ警視庁の住所表示板を盗むオートバイの二人組、酒場に押し入るギャングたち、現金輸送車の強奪という相互に関係ない三つの事件が、細かくカットを割った絶妙のリズムで並行的に描かれます。この三つの出来事が次第に緊密に結びついていくのだけど、余計な説明は一切無く、全てをアクションで浮き彫りにする手法は、まさにハード・ボイルド!!
物語は、人間味あふれる警視レオと、悪辣なライバル、ドニ(ジェラール・ドパルデュー)が激突する争いで、二人は現金強奪事件の真相に迫るなかで対立を深めていく。この二人が、カッコよさとふてぶてしさと醜怪さを見事に溶け合わせて対決を盛り上げる。オートゥイユの冷徹さと同時に憂いを秘めた物腰が魅力。ドパルデューはどこまでも狡賢くて厚顔無恥な男像。終盤、レオとドニが対峙するが、その畳み掛けるようなサスペンスフルな見せ方と、意外な作劇の綾で一気に見せてしまいます。そして、ラストに訪れる深く静かな余韻...。

鼻曲がりのダンディ
コンプライアンスは守らないが部下の信頼は厚い武闘派のレオと、上昇志向が強くライバルのミスをチクッてまでものしあがろうとするクラン。何故か鼻がひん曲がっているという共通点をもちながら、仕事に対する考え方が180度異なる2人の警察官の物語です。連続強盗団を検挙しながらも、クランのせいで友人や愛妻を失い、情報屋をかくまった罪で投獄されるレオが、最期に正義の鉄槌をくだすのかが最大の見所となっています。

レオの妻を過去に2人が愛したファム・ファタールとしてもっと濃密に描いていれば、レオとクランの確執により厚みが加わり、フィルム・ノワールとしての品格は高まったかもしれません。また、かつての部下が襲撃を受けた時点でラストがなんとなく読めてしまいましたが、男のダンディズムが滲み出す骨太なストーリーには結構引きこまれました。ハリウッドでリメイクが決定するくらいですから(また?)、井筒監督がけなすほどしょうもない作品ではなかったということです。

「隠された記憶」でのダニエル・オートゥイユ(レオ役)の気の弱い男役の印象が強かったので、悪人面のくせにあまり悪そうにみえないジェラール・ドパルデュー(クラン役)と役柄を代わった方が、僕的には良かったなぁと思いました。蛇足ですが、天井抜け落ち事故で、新しくなったシャルル・ドゴール空港の屋根をENDINGで見ることができますよ。

新しいノワール
完成度の高い傑作フィルム・ノワールとされているが、その特徴である主人公の運命を狂わせる謎めいた美女の登場もなければ、ボイスオーバーやフラッシュバックといった手法が入るわけでもなく(普通に考えれば主人公二人が袂を別った経緯をフラッシュバックで挿入していくべき)。
その意味でフィルム・ノワールの伝統に則った映画ではないし、アクションシーンや音響などは、十分にハリウッドの成果を取り入れた良質なサスペンス映画と言える。
だからデ・ニーロがハリウッドでリメイクするのも納得できる。関係ないが主人公の一人を演じるオートゥイユはデ・ニーロによく似ている。
それでも本作をフィルム・ノワールの傑作たらしめるのは、全編を覆うパリの闇の深さであり、主人公二人の一人は権力をもとめ一人は仲間と家族を守ろうとする出口のない焦燥感である。
一人は渇望する権力を手に入れようとし、もう一人は刑事の矜持を崩さず、部下と家族を守ろうとする。
どちらも情報屋を使うが、彼らは刑事を裏切ることもしばしばであり、逮捕すべき犯罪者にもなる。職業倫理を守りながらも情報屋と微妙な距離感を保って接しなければいけない息苦しさの描写はすばらしいもので、まさにフィルム・ノワール。
また邦題がすばらしく原題をはるかに凌ぐ。原題は「オルフェーヴル河岸36番地」でありシテ島にあるパリ警視庁の住所。日本で言えば桜田門ということ。
警察勤務経験のある監督の演出が、名優二人のワガママ(悪い意味ではなく名優に特有の、どの映画でも滲み出る個性といった意味で)を十分に抑えている。

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